井上わたるの和光ブログ
和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。
2025.03.23
さて、今朝、投稿した【シリーズ「県立高校共学化を巡る議論」その≪29≫】で私は、
・共学化方針の撤回を求めて寄せられた県民コメントへの県教委の回答はほぼゼロ回答だった。
と綴りました。
それは、まだこの先、県教委が「アンケートや地域別での意見交換、有識者からの意見聴取などを実施」するとしているからです。
また、令和6年10月18日に施行された「埼玉県こども・若者基本条例」でも、「こども・若者の意見が尊重され、最善の利益が優先される社会」が謳われているからです。
さて、この「埼玉県こども・若者基本条例」の趣旨を具体的に県の事業として進める上で、県は「埼玉県こども・若者計画」を定めることになりました。
その議案が私2月定例会の議案として挙がってきました。
この計画は、「埼玉県こども・若者基本条例」が令和6年10月18日に施行されたことを受けて制定するモノですが、簡単に言えば、実はこれまでも似たような計画があり、
◎「埼玉県子育て応援行動計画」(令和2年度~令和6年度)
◎「埼玉県青少年健全育成・支援プラン」(令和5年度~令和9年度)
を統合して新たな計画として作るものです。
他にも、県の最上位計画の『5か年計画』の中間見直しもあり、それらを一緒に審査するための特別委員会を設置し、会派「無所属県民会議」からは私と金野議員が審査を行う委員の一人となりました。
その中で、私が取り上げたのが、計画の肝であり、冒頭に記された次の部分です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【将来像1】 こども・若者の意見が尊重され、最善の利益が優先される社会
=施策の柱=
1 こどもの権利擁護、意見の反映
=具体的施策=
(1)こどもの人権が尊重される社会環境づくり
(2)こども等が意見を表明する機会の確保
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
この記載や方向性はとても良いと思っています。
一方で、今回の県民コメントを「(不満のある人たちの)ガス抜きにしか思えない」という声もあがっているように、この記載を単なるガス抜きや「意見を聞きましたよ」「県民から声を聞きました感」を出すためのアリバイ作りのようなモノであってはならないと考えています。
この点について、特別委員会で取り上げ、次のようなやりとりを行いました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(井上質疑)
●2ページ目、将来像の中の1、こども・若者の意見が尊重され最善の利益が優先される社会、その実現というところについて、伺います。
●私はこれは非常に大事なことだというふうに思っている。これまで各委員から意見ありましたけれど、どういうテーマであるとか、どういう分野について、例えば、これから進められる『こども会議』をやるのかとか、アンケートを取るのかといった「テーマ設定」をどう行われていくか。
●そこに、この「こども計画」の大事なところがあると思っています。
●先程より、「庁内の関係部署が横断的に(計画を実行する)」っていう話がある中で、どういうふうにテーマ設定をしていくのか、確認させてください。
(こども政策課長 答弁)
〇例えばですけれども、来年度予算に計上し、実施したい「こども会議」について申し上げますと、こどもたちから意見をいただきたい、県のこども施策のテーマについて、庁内から広くまず募集します。
〇どうやったらこどもたちから意見をいただるか、ということをお子さん、こどもたちに聞いたりとか、あるいは、どんな居場所があるといいですか、これらはあくまで一例ですけれども、そういった形で広く庁内の施策においてこどもたちの意見を取り入れたいと思うものについては、募集して設定したいと考えております。
〇ただ、こちら側がこうだというふうに決めて、これが欲しいからとテーマを設定するということで決めるだけではなくて、こどもたちが意見を伝えたいテーマを自由に考えるということも大事であると考えておりますので、こどもたちから提案されたテーマを取り上げることも想定をしております。
(井上 再質疑)
●テーマ設定について、特に私が大事だなって思うのは、この分野・このテーマについては、『今、僕たち・私たちの声が反映されてないよ』って思ってるものに声が届くようになることです。
●「自分(子ども・若者)たちの声が反映される」ことは、それは「意見を言えた」っていう経験を得るという意味だけではなく、県政が「これまで見落としていた部分を気づける」っていう意味でも重要だと思っています。
●先ほど、(他の委員のやりとりの中でも)、県にとって耳が痛いこともしっかり聞いていくみたいな答弁もありました。
●例えば今、こどもたちから県の施策で「その方向性でで合ってる?そうじゃないんじゃないの?」って疑問の声上がってる施策っていくつかあると思うんですよ。
●例えば、県立学校の共学化の問題とかでも教育委員会の出した方針とこどもたちの声っていうのが違っています。
●先ほど耳が痛いっていうような表現もされていましたけれど、反映しきれてないってこどもたちが感じているテーマにこそ、こどもたちの声を聞く、そういう機会を私は設けていくべきだと思うんです。
●そのために、これから部局横断的にいろいろ(テーマを)集めていくとか、そのようなプロセスもあるというお話でしたが、先ほどの1回目の答弁にも、声を聞きたいものだけを集めていてはよくないっていうような発言もありました。
●私が感じている認識(=子ども・若者の意見と乖離したテーマこそ県は積極的に声を聞くべきという考え)は、執行部とも共有できているとは思うんですが、その点について再度確認をさせていただきます。
(こども政策課長 再答弁)
〇テーマ設定についての再質問にお答えします。
〇おっしゃるとおりで、こどもたちが、聞かれていないというか反映されてないというか、今までそういった聞いてこなかったけれども、声を聞く必要があるもの、こどもたちのニーズがありそうなモノを、こどもたちからも引き出したいということも考えております
〇けれども、やはりその庁内に広くこういったテーマを募集するにあたっては、そもそもこども施策、すいません、こどもの視点を県政に視点、意見をいただいて反映するっていうこと自体、これから広がっていくというかまだ始まったばかりなので、考え方とかそういったことも今後伝えつつ、井上委員の発言のそういった趣旨も含めてですね、テーマを募集していきたいと考えております。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
長ったらしくて申し訳ありませんが、私が今回の「こども・若者計画」の「こども・若者の意見が尊重され、最善の利益が優先される社会」という記載を巡って審査を通して言いたかったことは
◎県にとって都合の良いテーマばかり集めるな!
◎今、こども・若者の意見(感覚)と、県の方向性が乖離している施策をテーマに取り上げることから逃げるな!
(具体的には、共学化問題はまさにそれだからな。)
ということです。
それについて、今回のやり取りである程度、釘を刺せたと思っています。
ですので、実際に取り上げられるまで、私はしっかり注視し続けたいと思います。
2025.03.23
先週も、県立高校の共学化を巡る議論を特集した「配るホームページ第87号」を駅立ちで配ってきました。
市民の皆さまにも少しでも関心を持っていただければと思っています。
『 「魅力ある県立高校づくりの方針(案)」に対する御意見と県の考え方 』を公表しました。
提出者数︓432名(個人413/団体19)
意見件数︓597件
という、過去の県民コメントではあり得ないほど、多くの方が声を寄せてくれました。
一方、これに対して、
A 意見を反映し、案を修正したもの 2
B 既に案で対応済みのもの 21
C 案の修正はしないが、実施段階で参考とすることとしたもの 36
D 意見を反映できなかったもの 528
E その他 10
意見総数597
という結果でした。
【意見を反映できなかったもの 528件】のうち、多くが「共学化の方針は削除すべき」という声でした。
ひとつ補足すると、県がどういう分野であれ、この手の県民コメントをやると、反映されるケースは決して多くありません。多くの意見が「B 既に案で対応済みのもの」や「C 案の修正はしないが、実施段階で参考とすることとしたもの」や「D 意見を反映できなかったもの」に分類されることがほとんどです。
ただそれでも、今回のように県民からこれだけ多くの意見数が届きながら「意見を反映できなかった」とするケースはほとんど見たことがありません。
県民コメントを出すことがどれだけ大変かを鑑みれば、この「数」自体を県教委は無視してはいけないはずです。
※過去これだけ反対が集まった事例は(正式には議会のいち会派による県民コメントなので、同列には語れないですが)自民党議員団が「LGBT条例」を出した時くらいです。
※結果、寄せられた意見数すら公表せず、多数で成立してしまいましたが。。。
私は、寄せられた各意見に目を通しましたが、よほど寄せられた声のほうが理論的だと感じました。時間を掛けて綴ったのが分かる意見が沢山ありました。
だからこそ、それらが届かなかったという、この結果を残念に思う方も大勢いらっしゃると思います。
ただ、どうかこれで「私たちの声は県に届かないのか…」と諦めないでください。
この先、県教委は、まさにこの県民コメントの『回答』にも載っているように「アンケートや地域別での意見交換、有識者からの意見聴取などを実施」するとしています。
私も諦めておりません。
先日、「こども若者計画」策定の審査でも、県民の意見聴取の在り方について取り上げました。
次回(なるべくすぐにアップします)は、この審査内容をお話しできればと思います。
2025.03.05
その①に続いて、その②です。
新聞記事にあるように、追認議案については「賛成少数」ですので、賛成した議員も居たし、否決とした議員も居たということです。その上で否決とした議員が多かった、ということです。
(ちなみに、県議会の2月定例会には、県議会でも全議員の賛否一覧を公表してほしい、という陳情が届きました。※会派単位では公表しています。)
その①で申し上げた「全市町村で事例があった市町村及び市町村教育委員会はどこか。」を一覧にしたのが、今回ご紹介する一覧です。
表の一番右に「採決結果」が出ていますが、和光市議会以外は、いずれも【原案可決】となっております。
なお、埼玉県だけでなく、都道府県は、幸いにして予算規模が大きいので、他県でも同様のケースはほぼ発生していないことも調査で明確になりました。
(※新潟県では県糸魚川地域振興局が発注した糸魚川市での地すべり対策の工事について、県議会での議決を得ずに契約を締結していたことが分かりました。関係議案を開会中の県議会2月定例会に提出しているということです。)
調査によって、議会の議決を経ない…という事例は過去になく、あっても購入ではなく「処分」の事例が昭和30年に在ったっきりです。
調査報告は以上です。
以降は一市民としての意見ですが、和光市議会3月定例会では、この事案に端を発する市長と教育長の減給議案が出ています。
その行方も気になるところですが、私としては、こうした全国で唯一の、また地方自治の歴史上初となる事態が生じることとなった市議会の対応を注視したいと思います。
2025.03.05
令和6年6月24日、東京都小平市が、議会の承認を経ずに教師用指導書を購入したことを発表して以降、全国で同様の事案が発覚しました。
以下は新聞記事の引用ですが
とあるように、和光市議会では、この追認議案を否決しました。
このケースを踏まえ、県の契約などの部署や教育委員会、そして議会事務局の協力も得て、以下の点を調査してきました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
Q1 埼玉県及び県教育委員会として、その事案が在ったか。
Q2 同様の事案があった市町村 及び 市町村教育委員会はどこか。
Q3 発生したほとんどの事案で「財産の取得(追認)」の議案が提出され、議会によって追認されている。和光市ではそれが追認されなかった。このような事例は県内であるか。また、全国に目を向けた場合でも、そのような事案はあるか。
Q4 追認されない場合、どのような状態といえるか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
これらについて、ちょうど昨日、回答が出揃いました。
これらを見ると、和光市議会での対応がいかにイレギュラーであったか分かるかと思います。
今回の「その①」では、その回答をテキストでご紹介し、その上で、画像で川越市と三芳町でのこの事案に関する質疑応答を紹介したいと思います。
この話は、次回に続きます。
なお、以下に登場する資料1はこのあとアップします。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
調査依頼
(議会の議決を経ずに物品購入した事案)について
Q1 埼玉県及び県教育委員会として、その事案が在ったか。
A1 事案の存否については、県議会において購入に議決が必要な物品に対する追認議案(以下、「追認議案」)の存否としての観点で確認したところ、追認議案の提出はありませんでした。
なお、確認の対象期間については、東京都小平市が、議会の承認を経ずに教師用指導書を購入したことを発表した令和6年6月24日以降としています。
Q2 全市町村で事例があった市町村及び市町村教育委員会はどこか。
A2 事例の存否については、A1と同様に追認議案の存否について確認を行ったところ、別添資料1のとおりとなっています。
Q3 発生したほとんどの事案で「財産の取得(追認)」の議案が提出され、議会によって追認されている。和光市ではそれが追認されなかった。このような事例は県内であるか。また、全国に目を向けた場合でも、そのような事案はあるか。
A3 県内市町村の追認議案の議決結果については、別添資料1のとおりです。
また、追認議案が否決された場合は新聞等での記事となる可能性が高いと考えられますが、インターネット上での情報や主要な新聞記事を検索しましたが、追認議案の否決事例については、和光市以外は該当がありませんでした。
Q4 追認されない場合、どのような状態といえるか。(違法状態となるのか)
A4 地方自治法第96条第1項第8号により、条例で定める財産の取得又は処分については、議会の議決を要することとなっています。
財産の取得に関する議会の議決を経ていない場合の行政実例・判例は今のところありませんが、財産の処分に関し、議決を経ないで行った村有財産の売却処分を無効とした行政実例があります(昭和30.5.19 自丁行発第80号 三重県総務部長宛 行政課長回答)。
なお、参考として、県内市町村の追認議案の審議の中で、追認が否決された場合の質疑が行われたものについて、別添のとおり答弁が行われています。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2025.02.15
和光市全域の、新聞各社の朝刊に、最新号である「配るホームページ第87号」を折り込みますので市内の方は是非チェックしてみてください。
今、埼玉県立浦和高校の校歌指導問題が一部のメディアで報じられていますが、これと共学化議論を絡めるのは、少なくとも県教育委員会はしてはいけないと思っています。
そもそも、今回の男女共同参画苦情処理委員が「条約違反ではない」と把握しながら、全別学校(男子校・女子校)に対して一律共学化するように求めたのが間違いです。
それに加えて、今回の新聞報道です。
これ以上、今の現役高校生のためにも、本質と異なる議論を挟まないでいただきたい。
普段、私のSNSやネット発信に接しない和光市の皆さまにも、是非埼玉県で今起きている別学を有する県立高校の魅力を減らすことに繋がる一連の動きを知っていただき、自身のお子さんやお孫さんのためにも、多様な選択肢を残す、という想いに共感していただければと思います。
なお、チラシは、明日の新聞折込の他にも、ポスティングや駅立ちでも配りますが、私のHPでも先行公開しています。
こちらからも是非、ご覧ください。
私が続けてきた「県立高校共学化を巡る議論」に関する発信に対して寄せてただいた県民の皆さまの声も紹介させていただいてます。
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