井上わたるの和光ブログ
和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。
今日で12月定例会が終わりました。
今回私が注力したのは「知事の特別秘書」の給料をめぐる議案です。
現行の条例がわかりにくい、ということで、
執行部が提案した改正案に対して、
自民党県議団が「修正案」を出す…という流れに。
私は2月定例会からこの問題を担当しているので、
その総決算の判断として「自民案に反対、原案に賛成」の立場をとりました。
その理由は
①「そもそも議会が修正をかけるべきものではない」
②「自民の修正案は完成度が低い」の2点です。
※詳しくは下記の討論文(長いですけど)をご参考ください。
県民の皆様に、これがいかにイレギュラーなことか
少しでもわかってもらえると有り難いです。
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○議席番号32番。無所属県民会議の井上 航です。
○会派を代表して 第113号議案 「特別職の職員の給与及び旅費に関する条例の一部を改正する条例」および 第127号議案「特別職の職員の給与及び旅費に関する条例及び埼玉県教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を改正する条例」に関して、原案に賛成、修正案に反対の立場から討論を行います。
○まず、前提として触れておきたいことがあります。現行条例に基づく給料支払いは違法でもなく、給与条例主義に反するものではない、という点であります。それは皮肉にも、提案者の会派が求め、且つ同会派から2名の委員を選出して行われた監査によって明らかになりました。
○現状が適法である以上、仮に今回の執行部案に納得できないというのであれば、修正案を出すのではなく単純に原案を「否決」すべきです。その上で議案に対し質疑や討論を通して、問題点を指摘し、次回定例会までに執行部に再考させるべきでした。
○特別職の給与は執行部の権限に属するものであり、議会提案による議案をもって決めるべきではない! と我々は考えます。
○特に、特別秘書の場合は任命に議会の同意を必要としない点を考慮すべきであります。
○例えば副知事、教育長であれば、任命に議会の同意を必要とします。その場合、任命の可否を巡っては、支払われる給与額を含めて「適任か否か」と検討するわけですから、議会はここで「同意をしない」という議会意思を示すことも出来ます。
○しかし、特別秘書には任命議案が存在しないため、今後、議会が特別秘書の任命やその働きに不満を持った場合、給与条例の改正をチラつかせる、または実際に改正することで、議会が直接、特別秘書に弓を引くことが出来るようになってしまいます。
○これらを勘案すると、議会から修正案を提示し議決する前例をつくることは、将来に向けても特別秘書の給料を議会が恣意的に決められることになります。ひいては知事の任命権の制約に繋がると解するため、修正案に強く反対致します。
○さて、我々は修正案を提出するという行動自体を認めないという立場でありますが、その上でなお、つとめて冷静に、原案と修正案の2つの案を比較したいと思います。その比較の結果、我々は執行部案のほうが優れていると考えます。
○今回の経緯を振り返ると、2月定例会 予算特別委員会の総括質疑から始まり、予特での付帯決議、6月定例会での監査請求、その後の監査の実施、そして9月定例会での「監査結果に関する決議」。これだけの経緯を経て激しく追及してきた…にしては、出来上がった修正案はあまりにも低い完成度であるという認識を持ちました。 ○理由を述べます。
○まず、9月定例会で、提案者が出した決議では、最後に「特別職給与条例について、特別秘書の給料月額の決定方法や、その上限額を県民が容易に理解できるような規定に改正すること」としています。
○また、監査結果報告書の中にも注目すべき次の2つの記載があります。
1 「上限額を明確にすべきである」
2 「(現行条例について)、こんにち解釈(かいしゃく)するとすれば、特段の事情のない限り、あらかじめ特別職の秘書の職務の複雑、困難、及び責任の度を反映した独自の基準職務表及び給料表を定め、給与を決定することが望ましい」という文言です。
○以上を踏まえると、執行部並びに我々議会に求められているのは「わかりやすい単一の固定額を示すこと」では決してありません。
○この視点でいえば
○執行部の条例改正案は、号給の幅を持たせた新たな給料表を設けて、それぞれの給料月額を明記しているため、そもそも執行部案に修正を擁する不備などはない。
○特別秘書は他の特別職と異なり、職務の困難性が変わる可能性があるが、給料月額を固定化することにより、その給料月額にふさわしい人を選ぶ必要性が生じ、知事の任命権に制約を与えることになりうる。
○他県において定額により設定している団体はない。
○9級の最高号給をもとにしているとのことだが、職員の在職状況を見ると9級の最高号給の給料月額を受けている職員はいない。実際の9級職員の号給設定を大きく上回る号給を基礎としており、その根拠が不明確である。
○また、職務の特殊性や困難性などを評価して、25%の調整額を加えたということだが、これは条例上認められた限度(額)であり、現在、県職員でこの調整額を用いている例はない。監査結果報告書で、この調整額25%という数字は出てくるが、あくまで、「現行条例に基づく支給額と、今後改正される場合の支給額が、これを加算した額の中に納まるようにすべき」と述べているに過ぎず、この数字を固定額の根拠として用いるには根拠に乏しい。
○加えて、現行条例に基づき現在支給されている額、今回執行部から提案された原案に基づく支給額、提案者の修正案に基づく支給額の3つについて「支給年額」について比較した場合、修正案こそが最も高額となる。
○以上を踏まえると、修正案は、条例の作りは明快であるものの、その背景にある算出根拠や、現行条例に基づく支給額より高額となる理由は、むしろ県民が容易に理解できるものではありません。
○また、将来的に特別秘書が交代になるケースや、知事が変わることに伴い特別秘書も交代するといった事態、さらには複数人を任命したい場合などにも備えておらず、条例としての完成度が低いと考えます。
○以上のように、修正案に反対、原案に賛成の理由を申し述べて、私の討論と致します。