井上わたるの和光ブログ

和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。

2022.07.12
※この投稿は連載シリーズになっています。
まず①②③をまずご覧下さい。

本会議質疑を踏まえ、総務県民生活委員会が行われました。





我が会派の委員は

「我が会派も性の多様性は尊重され、さらなる県民の理解増進が図られるべきと考えます。その上で、条例化という方法の是非、そして、その内容、及び制定後の影響を、慎重かつ丁寧に判断する必要があると考えるため、以下伺います。」

と述べた上で、下記の質問をしました。

===

1、県民コメントに関しては、報道では総数4747件、うち賛成508件、反対4120件と既に報じられています。実は我が会派に寄せられたLGBT当事者の声や多くの女性から寄せられた意見も、その多くが反対や慎重意見でした。県民コメント公開の有無はこの際、問いませんので、反対意見が多い中でなお、この条例の成立が必要と考える理由・意義を伺います。


2、国においては、「LGBT理解増進法案」として議論が始まり、その後「差別禁止法」とその内容を変えていき、その結果、法整備が進まなかったことは、提案者もご承知かと思います。
 我々も「理解増進法」のような条例であれば、否応なく賛成すると思います。一方で本条例は、第4条1項で「何人も性的指向又は性自認を理由とする差別の禁止」を定めています。提案者は「差別禁止法」に近い条例を作ろう、という認識なのか、お伺いします。


3、先日の本会議質疑では「新たな解釈はないため、問題はない」と答弁していましたが、一方で「自身の性は、主観的な性自認を重視し、それは本人が認識した時点で、その性となる」とも答弁しています。これはやはり新しい「性の考え方」であり、このように理解をしている県民はほぼ居ないと思います。
だからこそ我々は慎重に議論を深めることや、仮に成立してもしっかりと周知期間を設けることが必要と考えますが、改めて提案者の認識を伺います。


4、本会議での条例制定の影響についての質問に対しては「先行して制定している三重県で性犯罪が増加したことはない」という答弁がありました。

 ところで、この三重県の条例と、本条例案には大きな違いがあります。

・ひとつは、執行部提案か議員提案かということ

・2つめは、三重県では、条例検討会議を県が設置し、有識者や当事者、支援団体から公開で会議を行い、その資料や会議録も公開していること。一方、本条例案では、それらがないこと。

・3つ目は、いま述べたように、三重県では、丁寧なプロセスを経て、且つ、執行部提案だからこそ、条例制定に合わせて「条例解説」=いわゆる逐条解説を合わせて公開しています。

 特に、「条例解説」を見れば、「不当な差別的取り扱いとはどのような事例を指すか?」を事細かく掲載しており、また「他者との保護との関係から課題となる部分、制限する部分はあると考えます」と明文化されています。

そこで、例えば「第4条の1」を「何人も、公共の福祉に反しない限りにおいて、性的指向又は性自認を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならない」のような文言とすることで、条例制定を不安視する意見も減ったのではないかと思いますが、このような文言を加えることを議論したのか、また、本条例案になぜこうした文言を入れなかったのか、提案者に伺います。


5、第11条で定めるパートナーシップ制度について伺います。

本制度は、令和4年 4月1日時点の調査結果では、全国 209 自治体が導入しています。このうち10団体(渋谷区、総社市、豊島区、港区、いなべ市、 国立市、浦添市、武蔵野市、福知山市及び岡崎市)が条例を根拠とし、それ以外の団体は規則、要綱等を根拠としています。

 以上のことから、本条例のようにパートナーシップ制度に関する規定を設けることはレアケースとなります。こうした全国的な傾向がある中で、この条文を設けた意図を伺います。


6、同じく11条についてです。県内でパートナーシップ制度を導入している自治体は35自治体ありますが、それぞれの自治体で制度を使える要件は異なります。またファミリーシップ制度については、どこまでをファミリー(家族)と位置付けるかなど、自治体ごとに大きく差があります。

 そのような中、本条例では「県のパートナーシップ制度・県のファミリーシップ制度の整備」することを求めています。

 既に各自治体で制度を利用している人に混乱が生じたり、場合によっては、これまで認められていた同性カップルが、県制度では対象から外れるといった事態が起きないかという懸念がありますが、提案者はこの点をどう考えているのか、伺います。


===


以上のような質問をしました。


・・・しかしながら、いずれも「これなら施行して、特に女性などの不安が解消される明確な答弁だった」とはならず、会派としては、ここで採決するよりも、更に丁寧な審査を求める〝継続審査〟という手続きを要請しました。


◆<継続審査の動議>

「県民に慎重意見が多い現状を鑑み、性的マイノリティを含む「すべての人」の人権が尊重される条例とするには更なる慎重かつ丁寧な議論が必要なため、継続審査の動議を提出します。」


・・・しかし、そこに賛成があったのは我が会派のみの少数であり、すぐさま採決を行うことになりました。

その結果、反対は無所属県民会議のみ

これに対して、自民、公明、民主フォーラム、共産党が賛成で「可決」となりました。


基本的には、これで議会最終日の本会議でも、この時の採決態度のままに採決が行われるので、特に波乱なく終わるのですが、今回はそうならない事情が提案者の自民党議員団にあったのです。。。



―最終回の④に続きます。
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