井上わたるの和光ブログ
和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。
こんにちは。
※この記事は昨日の「6月議会閉会① ~一歩及ばず~」の
続編です。まずは、そちらをご覧ください。
公民館の利用料負担などの使用料見直しは、
昨年秋に「基本方針」が示されたのち、
約半年間の議論を経て、昨日、決まりました。
私はこの半年間、この問題に正面から向き合ってきました。
その結論が、利用者負担導入は 反対 という答えです。
選挙の際に、掲げた
「昔からの和光市民も、新しい和光市民も
みんなが暮らしやすいまちづくりを目指します。」 というお約束。
それを考えた際に、これからの和光には、生涯学習や
地域と触れ合う機会を積極的につくることが、将来の和光市のためと考えました。
最近、私のブログが「長い!!」とご指摘を受けました・・・(^_^;)
すみません、おっしゃるとおりです。
・・・ですが、今回はその長い文章にお付き合いいただければ幸いです。
昨日議場で行なった「討論」をこの下に載せます。
私が反対した理由が分かっていただけると思います。
お時間ある時、どうぞお目通しください。
(参考)
青文字は、市役所の答弁を引用した部分。
茶色は、本番では省略した部分です。
============
<討論>
議案第47号「和光市公民館設置及び管理条例の一部を改正する条例を定めることについて」、委員長報告は「賛成」ですが、私は「反対」の立場から討論を致します。
―序論
使用料見直し全体に反対しているわけではない
まず、今回の使用料見直し全てを否定するものではないことを、最初に述べさせていただきます。全体の話として、統一の使用料算定基準を用いたことに対しては、一定の理解を示します。
人件費+維持管理コストを「行政コスト」とし、これに基づき(「施設の性質的分類」に基づく、利用者負担割合(例:50%とか100%)を掛け、それを面積割りすることで) 導き出された数値は、確かに客観性を持ち、他市比較においても適正値に近いものが出ています。そして、実際にこの算出方法は多くの自治体でも、採用されているものです。
しかし、この算出方法も、公民館のように「直接人件費」が大きく関わる場合、より慎重に算出する必要があります。
委員会での質疑の中で、各公民館における「直接人件費」に相当する職員の業務内容を確認しました。
(各公民館の施設配置人数 及び そのうち施設貸出・維持管理等に係る人数は、中央公民館は4人中2人、坂下公民館が4人中1人、南公民館が4人中1人となっています。)
主な業務は、『受付事務及びその準備、館内の清掃関係、利用状況の貼り出し作業、その他、通常の公民館業務(条例で決められている事務分掌)である』、と回答があり、必ずしも「施設貸出・維持管理等に係る」業務に限ることは難しいという実情でした。
この「施設貸出・維持管理等に係る直接人件費」の設定が、曖昧さを残す数値であり、他の間接人件費のみを計上している施設と同様には考えることはできません。
―第2章
市民への状況説明が不足している
次に、導入の背景から述べたいと思います。
和光市も将来の財政見通しは軽視できず、(今の財政状況を見て「ゆとりがあるなら、市民に利用料負担をさせるべきでない」という論拠をはるつもりはありません。)
将来のための行財政改革の必要性は感じております。
近隣3市では、受益者負担を導入した志木、新座市はともに「財政非常事態宣言」を出し、その背景の中で、利用者負担をお願いする、というスタンスでした。
このように、利用者負担を導入するにあたっては、財政状況を明らかにし、市民に理解を求める必要があります。先日開催された全ての市民向け説明会にも参加しましたが、「行財政改革の一環」「受益の公平性」を前面に出し、真に理解を促す説明ではなかったと考えております。
―第3章
導入後の影響分析が不足である
導入後の影響については、委員会で審議を行いました。
まず、市としては、利用率について「一概に減るとは言えない。」という分析をしているとのことでした。
これは、私が他市の実例を調査した際、同様の意見を聞いています。しかし、その理由は、「利用料が取られるということを気にして利用を控えていくと、その枠をほかの団体にとられてしまう、だから使うしかない」という背景があるということでした。
和光市も各団体の希望時間帯は重なっており、同様の意識が働くことになると想像できます。(市民の声に応え、他市よりも減免率が高く設定し、利用を控えるまでにはなるべく至らぬよう、調整をされたことには評価致しますが)
この利用が減らない、という分析は、現在の施設利用の実態、そして、「多少利用料を払ってでも、活動をしたい」という市民の思いに乗じたものだと言えます。
また、朝霞市では、利用者負担の導入によって、利用者が施設を大事に使うようになった、という良い効果もあったという話を伺いました。
しかし一方で、「これからはお金を払うのだから、もっと施設整備を良くほしい」という、改善要求も増えたそうです。市もその要求に応えるようにしたため、修繕費は増額になったとのことです。
今回の利用料徴収によって見込まれる年間の増収は、3ヵ年の平均で、中央公民館が109万8,200円、坂下公民館が24万8,300円、南公民館が57万9,680円と、委員会で答弁がありました。
他市の事例では、これらの額をはるかに超える改修費用が上乗せされたそうです。和光市の場合も、修繕費の増額は想定をしているとのことでした。
(「当然、使用料を支払っていただくようになりますと、そういう改善要求なども当然出てくるし、整備をしていかなければならないというふうに考えておりますので、修繕費の増額は当然考えていかなくちゃならない」、という答弁がありました。)
行財政改革のために行うことが、かえって支出を増やす結果にならないか、それを危惧致します。
―第4章
「地域センター」・「生涯学習」の位置づけが曖昧になる
今回の使用料見直しでは、公民館以外の各公共施設も見直しの対象になっています。
その中、公民館と切り離して考えることができないのが「地域センター」の在り方です。
地域センター条例では、「地域住民に自治活動、福祉活動等の場を提供することにより、市民の手による望ましい地域社会づくりの推進に資するため」の施設であると位置づけられており、自治会活動、NPO、ボランティア団体、そして、地域交流を促す意味でサークル活動にも開かれてきました。
見直しによって、今後1時間単位での貸し出しへ変更になり、面積によって異なりますが、1時間当たり100円から300円で利用できるようになる、としています。しかし、「登録団体」の定義は変わらないため、前述の各団体は引き続き無料で使えます。
そのことは市民にとって喜ばしいことですが、公民館は利用者負担が発生するように見直すとしている中で、同じ「サークル的活動」を行なっても、地域福祉活動として地域センターでやれば無料、社会教育・生涯学習として公民館でやれば有料、という環境を作ることになります。
一方で、公民館の「社会教育団体」に登録すれば、地域センターも無料で利用できるようにする、という話も市民建設委員会で出ています。
このように今回の見直しは、「公民館」と「地域センター」という施設の在り方、また「生涯学習」と「地域社会づくり活動」、というそれぞれの位置づけを大きく変える議論です。コミュニティセンター、勤労青少年ホームの統合も出ている今の状況では、今回の見直しに踏み切る前に、今後の和光市のまちづくりについて、熟考を重ねる機会をもつべきであると考えております。
―最終章
市民交流を促す「政策」として徴収するべきでない
最後に私は政策として、和光市の公民館を使用料無料で使えるとすることが、将来の和光市のためになると判断しました。
今回、自分が和光に来た時のことを思い出しました。
私は和光市の生まれではありません。親戚は住んでいたものの、和光市に移り住んできた時、このまちにはその他、誰も知り合いはいませんでした。
その中で初めて他の市民の方とつながりを持てたのが、公民館の卓球サークルでした。私は中学校で卓球をやっていたので、その卓球をきっかけに地域との縁が持てました。
市は、「地域と縁をもつ」という効果を地域センターにこそ期待しているのかもしれません。
しかし、卓球や楽器演奏などを例として、人によっては地域センターでは行えないものを楽しみにしていたり、それらを通して人と交流したい、という方も多いはずです。
そうした時、公民館で現状のように利用者負担を敢えて徴収せずに使えることは、市民の社会参加の機会を増やすことに繋がると思います。
この使用料見直しは、他の自治体でも行財政改革の一環として取り組まれ、非常に多く導入されてきています。
しかし、和光市は新しく移り住んでくる方が多いという特徴をもつ街だからこそ、行財政改革の一環として、使用料徴収を行うよりも、市が「生涯学習振興計画」で「生涯学習の支援を充実させる」と述べているように、生涯学習や市民の交流を積極的に促す政策として使用料徴収しないという判断が、将来の和光市のためになると考えております。
以上のことから、私はこの議案第47号に反対を致します。
====
以上が、私の考えです。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました。