井上わたるの和光ブログ

和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。

2008.01.28

こんばんは。

今日は、朝9時から 臨時議会 が開催されました。

議題は、先日よりご報告してきた
「市職員の給与引き上げについて」です。


この議案について、どういう判断をするか・・・会派でも議論を重ねてきました。

『人事院勧告に従って、給与を改正する。』
― 引上げの場合も、引き下げの場合も、このことは大原則です。


その考えに従うだけであれば、
今回の議案にはスムーズに賛成とするべきなのかもしれません。

ただし、今のような
・生活必需品が値上げラッシュ
・非正規雇用が全体の3分の1を占める


こうした市民に厳しい状況の中で、賛成を投じるべきかどうか、
非常に困難な判断でした。


今回、私たちの会派「新しい風」では、ひとつの打開策として、
給与引き上げを、来年度からに見送るように導けないかを検証しました。

そのためには、

① 「修正案」を出す。
② 議場で、本年度(平成19年4月1日)から導入することの正当性を問う

という手法が考えられるのですが、
①は成立のためには、過半数が必要であり、
残念ながら「新しい風」だけでの実現は難しかったのです。


そこで、私たち「新しい風」は、
②を行ない、正当性が認められれば賛成をしよう、ということになりました。


9時に開会し、
まずは、市長から議案の提案説明がありました。

その後、議案に対する質疑の時間があります。
松本議員、そして、井上が質問を行ないました。

聞いた項目は、
Q、組合との協議の過程はどうだったか?
 ⇒A、12月25日に結論が出た。

Q、民間給与実態調査の調査対象となっている規模の企業は
市内にどれくらいあるのか?
 ⇒A、調査は行なっていませんが、「民間調査」で示される
   全国統計を重視したい。
 

Q、来年度に見送る自治体がある中で、和光市は
そうした議論はあったのか?
 ⇒A、人事院で示された以上、それに従いたい。
   かつて、引き下げの時も、そのように対応した。

Q、サラリーマンの初任給は民間より、低いというが
『生涯賃金』での比較はしているのか?
 ⇒A、比較はしてないが、その発想も必要と考えます。
   公務員がずば抜けて高いということはないと考えられます。


以上のような質疑を行いました。

この結果、難しい決断ではありますが、私たち「新しい風」では、
今回の改正は「許容範囲内」という結論を出し、
本議案に「賛成」することに致しました。


「採決」の結果、全会一致で可決 しました。


・・・今回の議案、(共産党さんは質疑・討論を行ないましたが)
それ以外の議員からは特に発言がなく、すんなり通った印象です。

もっと議会全体で、真剣に向き合うべき議案ではなかったか・・・、
審議を終えた今、そのことを強く感じています。


最後に。

採決の前に行った「討論」で、私の発言した内容を下記に記します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

それでは、議案第1号について、この議案に賛成の討論を致します。


今回の改正は、人事院勧告を受けて、

・民間給与との差を埋めるため、若年層に限定した月額給与の引き上げを行うこと
・期末、勤勉手当を引き上げ、4.5カ月分とすること

を中心とした改正であり、平成19年4月1日に遡って実施されます。


市職員の給与は、『地方公務員法』及び、
各市町村の条例によって定められています。地方公務員法 第14条では、

「地方公共団体は、この法律に基いて定められた給与、勤務時間
その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、
随時、適当な措置を講じなければならない。」

とあります。

今回の議案もこの規定の考えに則って、審議をさせていただきました。


和光市の改正は「国家公務員準拠の考え」に基づき、実施されます。
そして、その国家公務員の給与水準は、民間給与に準拠して定められています。


第一に、この「民間正職員との比較」という点について、意見を述べたいと思います。

若年層公務員の給与が低い、だから給与を引き上げるという考え方ですが、
同じ正職員と言っても、倒産や失業・リストラ・転職、給料不払いなどの
リスクは民間のほうが多く、身分保証も公務員のほうが整うことから、
公務員が抱えるリスクは圧倒的に少なくなります。

また、その基準となる民間給与水準は、
「平成19年民間給与実態調査」で算出されたものです。

しかしながら、この民間比較は、あくまで、一定規模以上の民間企業で、
正職員として働いている人たちの給与から算出された数値です。


つまり、現在、全労働者の3分の1を占めるパートやアルバイト、
契約社員や派遣社員などの非正規雇用者の給料形態は含まれていません。

仮に、民間の給与水準を、非正規雇用の方まで含めて算出したならば、
当然ながら公務員の賃金のほうが高くなるでしょう。

そして、社会情勢を鑑みると、現在、ガソリンや電気、小麦製品など
生活に直結する商品の値上がりが進む中で、
市民の生活は厳しくなる一方という情勢です。

また、和光市においては、「公共施設の使用料見直し」を行い、
受益者負担で市民に使用料を求めていく、という議論が行われています。


そのような状況の中で、今回の改正をどう判断するか非常に困難なところです。

しかし、和光市は全国的に見ても、人口に対する職員数を抑える人事体制をとっており、
その結果、部署によっては、職員ひとりあたりの業務は多くなってきています。

また、質疑で確認したように、生涯賃金の正確な把握はないということですが、
民間企業と比較し、群を抜いて特出しているというわけではないとの認識である、
との答弁をいただきました。

これらの点において、今回の範囲での給与や各種手当の引き上げは
適切な範囲内であると認識しています。


第2に、これらの引き上げを
年度当初、平成19年4月1日に遡ることについて、申し述べます。

まず、民間企業ならば、遡って給与があがるというのは、通常ありえません。

また、この「遡り適応」についても、「国家公務員準拠」を
理由として述べられていましたが、他の自治体では、
遡り適応を行わず、来年度から実施する、という判断をした自治体も少なからずあります。

その点については、和光市が自ら厳しい財政状況を省みて、
さかのぼっての適用を回避する判断がなされなかったことは残念に思います。

しかし、先ほどの質疑の回答にもあったように、
平成17年度 12月議会での「引き下げ改定」の際にも、
年度当初に遡って減額修正をしています。

そのことを鑑み、今回の「遡り適応」を許容範囲内と判断致しました。


そして、今後の、和光市の給与改定にあたっては、地域の民間給与水準や、
世間の景況、市の財政状況を、これまで以上に考慮することを要望したいと思います。

質疑では、市内企業の給与水準は把握できていない…ということでした。
実際、和光市民は都内に働きに出ている人が多いため、
市民の給与水準を考えると、
「平成19年民間給与実態調査」に近い、と考えることもできるでしょう。


しかし『和光市』の“役所”である以上、市内企業の給与水準を考慮することは必要です。

そして、今後の社会情勢や、財政状況の見通しによっては、人事院勧告を
見送ることも選択肢のひとつではあることを、今後の対応として
要望を伝えさせていただきます。

 
私は議員になる以前は、介護に関わる仕事をしていました。

その時、よく介護の現場から聞こえた意見として、
「利用者に安心・安全を提供する職員の生活や福利厚生が整わずして、
いいサービスは提供できない」
という言葉でした。

当然、介護の現場は市役所とは異質であり、
市職員の仕事との比較例に出すのは、適当ではないかもしれませんが、
基本的な考え方は共通だと思っております。

今までより、良い条件での就業が出来る以上、これまで以上の、
よりよいサービスの提供が市職員には求められます。

この議会の様子は、職員の方々、
そして市役所1階ロビーにいらしている市民の皆さまもご覧になっていると思います。

議会でこの条例が可決されれば、職員の給与が引き上げされることが決まります。

市民の皆さんが市職員を見る目は一段、変わることでしょう。
けれどそれは厳しい見方をされる…というのではなく、
「期待」「責任」が一層高まるということです。

その意識をもって、より良いサービス、つまり、より自発的に、より積極的に
市民のための施策に取り組んでいただくことを求めます。


以上で、議案第1号に関する私の賛成討論を終わります。


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