井上わたるの和光ブログ
和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。
2024.08.16
台風7号は埼玉県には大きな影響を与えない範囲で通過していたように思いますが、他の地域ではケガ人や住宅被害などもあると伺っています。
心からお見舞いを申し上げると共に、埼玉の地においても、今後もまた同規模の風雨災害があるかもしれません。
県行政に関わる者として、引き続き警戒を強めたいと思います。
県行政に関わる者として、引き続き警戒を強めたいと思います。
その中で、この問題の発端は「別学は女性差別だ」という理屈を持った第三者の苦情である、という話をしました。
確かに、発端はそうだとしても
「本当に共学化の目的はそれだけだろうか?」
「万一、県立高校が共学化された時、結果として得する業界や人々がいるのではないか?」
と慎重に思案を巡らしています。
現在、別学を志望する生徒の中には「別学の県立○○高校にいきたい」と思っている生徒も居れば、「〇〇高校というところまでは絞っていないけれど、同世代の異性は苦手で、どうしても別学に行きたい」と願っている生徒さんも居ます。
その理由は様々だと思いますが、万一、県立高校の全てが共学化…ということになれば、特に後者の方の選択肢は「私学の別学」しかなくなってしまいます。(当然、都内の私学別学も含みますが、ここではあくまで県内事由として考えたいと思います。)
一方、前者の生徒にとっても、希望していた選択肢が無くなるとしたら、それに近い環境を私学に求める可能性も十分にあります。
この「私学しか選択肢がなくなる」点については、6月定例会で八子議員が次のように述べています。
=以下、抜粋=
「万一、公立の男女別学校がなくなった場合、別学校に進学したいという希望者は、私学に進学するしか選択肢がなくなるわけですが、そうなると高い費用の問題が出てきます。私学は御承知のとおり入学金、授業料、施設整備費等々、公立に比べ高額な費用負担が求められます。
つまり、私学助成があるとはいえ、経済的に余裕がないと進学できないということになります。果たして、それでいいのでしょうか。私は疑問であります。」
==以上==
と述べました。
(※ちなみに、この質問に対して、教育長は「私学助成は(教育局ではなく)『総務部』の管轄になるので答弁できない」というスタンスで、明確な答弁はありませんでした。答弁を避けたようにも感じる方も居るかもしれませんが、これは行政の役割分担の視点でいえば、致し方ないことでもあり、質問する側としては時間さえあれば、“総務部長”への質問を「別の章立て」をして、用意出来れば良かったな…という後悔もあります。)
さて、八子議員の質問の中に出てきた「私学助成」に注目していきたいと思います。
昨年の男女差別苦情処理委員の指摘は、公立の男女別学高校だけ狙い打ちにして共学化せよという勧告の内容でした。
苦情処理委員の機能として、「男女共同参画に関する県の施策への苦情や配偶者・パートナーからの暴力、性別による差別的な取扱いなどの人権侵害について申し出ることができる」とあります。
確かに普通に読めば、「県の施策への苦情」を受け付ける訳ですから、県立ではない私学は勧告に関係ない…とも言えますが、実は県の歳出のうち「私学助成」は、令和6年度予算ベースで高校分だけで約322億円を支出しています。
少なくない税金が男女別学高校を含む私学にも助成されています。
このような私学助成という制度があるのは、ご家庭の教育費負担の軽減を図るためであり、私学が公立学校と並んで、公的に支援すべき重要性があるからだと考えます。
その理論でいえば、税金で支援している私学の別学も、本来なら苦情申立者が問題視してもおかしくないのですが、そこはスルーされています。
さて、この「私学助成」ですが、県議会の多くの会派で力を注いではいますが、実際のところ、議会で過半数を有し、議決に多くの影響力を持つ自民党議員団がその功績を果たしている、と私学関係者には受け止められています。
その証拠に、埼玉県私立中学校高等学校協会主催の「埼玉県私学振興大会」に出席すると、文教委員会所属・総務県民生活委員会の各会派所属の議員が来賓として壇上に居るにも関わらず、
「○○議員を代表とする自民党議員の皆様のおかげで、私学振興が拡大されました!」
とアナウンスされるくらいです。
※会報誌「緑陰」にも、自民党議員団への感謝が明確に謳われています。(※写真の2段目を参照。)
私学振興は私も大事だと思っています。
一方で、大阪府では
●私学への授業無償化の拡大
●入学を志願する者の数が三年連続して定員に満たない高等学校で、その後も改善する見込みがないと認められるものは再編整備の対象とする、という条例の制定
という維新の会の政策がキッカケとなり、公教育の基盤を壊す方向に進んでいて、一部では「私学優遇」「私学に優秀な生徒を誘導する利益誘導」との非難も出ています。
「公教育の充実」を優先したいと考える私としては、埼玉県の教育が、これと同じ方向にいくことがないように力を注ぎたいと思っています。
ただ、自民党県議団の所属議員が、過去に大阪府と同様の「定数割れしたらその学校は統廃合条例」を一般質問で取り上げたこともあります。
また、これまでにも何度か綴ってきたように、そもそも埼玉県議会で過半数を有する自民党議員団の会派代表である田村団長は、女性差別解消の視点から率先して共学化を訴えています。
さらに、これも以前に述べたことがありますが、田村団長は、過去、他の会派の議員の「県立高校を充実させるための質問」に対して
「県立高校なんていらねぇんだよ!」
というヤジを飛ばしたことがあります。
(いつ、誰の質問に対してか?はメモに控えてありますが、質問者のこともあるので、そこは明記を避けさせていただきます。)
政策論争という視点で言えば私学重視となり、公教育重視の私とは政策面で真反対になるでしょう。
議員間で政策に差があるのは当然と思いつつも、県議会議員が自ら県立高校の基盤を崩すことは、大阪の事例を見ても避けるべきであり、どうか同じ轍を埼玉県教育委員会には踏まぬよう、心から願っております。
・・・さて、勧告に対する回答期限もいよいよ近くなってきました。
ここまで、①から、今回の⑰までお届けしてきた シリーズ「県立高校共学化を巡る議論」ですが、一応、勧告に対する回答前のシリーズとしては、一区切りとさせていただきます。
多くの方にご覧いただいたり、コメントをいただいたり、シェアもしていただきました。
感謝を申し上げます。
私がこの間、伝えたかったことは、教育委員会に議論を任せる中で、少しでも多くの方に、この問題を知ってもらうこと。そして、その問題に纏わる、あらゆる点についても知っていただきたいということでした。
(今回で一区切り・・・とか言いながら、またすぐに伝えたいことが出来て、すぐにシリーズ⑱が再開するかもしれませんが。)
今日の投稿の最後に改めて申し上げますが、
『別学という選択肢を残すべき』
『将来の子どもたちのためにも、公教育を自ら弱体化させるような判断を県教育委員会はしてはならない。』
そう信じています。
別学を維持すべく活動されている現役の高校生、卒業生の皆様、そして、別学の意義を感じて力を貸してくださっている皆様に、これからも想いを同じくすることをお約束して、今日の投稿を閉じさせていただきます。
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