井上わたるの和光ブログ
和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。
2024.08.06
前回に続き、宮城県教育庁の視察を踏まえての発信です。
宮城県では、当時16校の別学校があり、共学化の方針が平成13年から、平成22年度までの約10年で、全ての別学校を共学化しました。
宮城県でも、下記の3パターンで共学化が進められました。
① 再編統合(男子校と女子校を統合する)
② 単独男子校から共学化
③ 単独女子校から共学化
合併後の効果・影響を測る軸は様々あるかと思います。
その中でも一番分かり良いのは、「男女比」がどうなったか?です。
数字の把握の上では「1年生の女子生徒の割合(もしくは男子に注目してカウントしても良い。)」をカウントすることで、推移を視ることが出来ます。
まず、①「再編統合(男子校と女子校を統合する)」ですが、これは男子校と女子校を合わせていますから、再編統合の時点で、ほぼ5割が実現しています。
次に、②「単独男子校から共学化」をしたパターンですが、女子の割合が4割程度でスタートして、その後、横ばい…という傾向が見て取れます。
ただ、この中で注目すべきは、表の下のほうにある「仙台第一」「仙台第二」「仙台第三」の“ナンバースクール”といわれる、県内でも偏差値が高いと言われ、歴史ある学校です。
その一部では、女子が2割、3割と低い学校があります。
※これらの学校は、共学化の方針が打ち出された当時、現役高校生が必死に反対活動を行なっていました。当時の映像を見るとその当時の無念が伝わってきます。
そして、③の「単独女子校から共学化」は、一番、元々の形を残す(=女子が多いまま)傾向があるようです。
中には、未だに、85%が女子という高校もあります。
この②と③について、具体的に学校名を上げてみていきたいと思います。
男子校から共学になった「仙台第三高校」は、令和2年には、男子80%、女子20%でした。
一方、女子校から共学になった「宮城第一高校」は女子が85%、男子が15%です。
共学化を推し進めても、アンバランスな男女比の結果、例えば、女子が8割の高校では、クラス編成の際「多くの女子クラス」に、「たった1クラスの共学クラス」のような構成になっているとも聞きました。
さて、先進地ではこうした実態があるわけですが、埼玉の共学推進の方々は、こうしたアンバランスな男女比であっても、門戸さえ開けばOK、ということなのでしょうか?
推進派の主張は
●埼玉県立の男子高校が女子が女子であることを理由に入学を拒んでいるのは女子差別撤廃条約違反
●だから女子の入学は当然認めるべき
という点ですから、割合がどうあれ、門戸さえ開けば念願叶って満足・・・かもしれません。
でも、実際に通う子供たちにとっては、その後の推移はとても重要なことです。
仮に「女子に門戸さえ開けばいい。男子校という存在がなくなるのだから。」というのでは、まさに「共学化することが目的」であって、生徒のための高校教育改革ではありません。
埼玉県教育委員会は、宮城県のこうした実態もしっかりと考慮すべきです。
また、宮城県では、その他の指標としては
・1年次生徒の男女比
・一般入試出願倍率
・男女別クラスの編成状況
・教員の男女比
・生徒の学校評価
・運動施設の状況
・部活動及び学校行事の状況
・生徒の問題行動等
・スクールカウンセラーへの相談件数
などについても、共学化する前後で比較もしています。
視察で印象的だったのは、「Q、進学率に変化はあったのか?」と質問した時に、「A,女子校から共学化した学校では4年制大学への進路希望者が増えた」という答えがありました。
ただ、会派メンバーが「それは時代が大学全入時代に向かったからでは?共学化との因果関係は証明できるんですか?」と追加質問したら、それ以上の答えはありませんでした。
もちろん、今の宮城県の共学化された学校を愛して、勉学・青春に励んでいる生徒は大勢いるので、宮城県の共学化についての是非について私はコメントする立場にはないと思っています。
但し、その事例を踏まえて、今の埼玉県での議論に対して言えることは、共学推進派の意見は「共学化することが目的」になっていて、その後の学校の在り方には責任を持とうとしていない、ということです。
どうか、埼玉県教育委員会には、宮城県の事例も踏まえ、共学化した場合の影響・効果にまで責任を持って検討してもらいたいと思います。
(参考)
高校教育改革の成果等に関する検証 「男女共学化」及び「全県一学区化」について (最終案)
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