井上わたるの和光ブログ
和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。
2022.07.12
※この投稿は連載シリーズになっています。①②をまずご覧下さい。
さて、続いてご報告するのは「LGBT条例」が本会議で上程された6/29(水)に、本会議で行なった質疑です。
埼玉県議会では、本会議質疑は「1会派1人。時間は5分以内。再質問、再々質問は良識の範囲内」という先例があります。
重要議案を審査するには、あまりにも短い質疑時間ですが、決まりは決まりです。
昼前に示された条例全文に対して、質疑したい項目を上げ続けていくと30項目近くに上りました。しかし私が早口で話しても、20問が限界と考えていたので、そこまで絞り込みました。
それでも、「過去に本会議質疑で、合計20問取り上げた議員はいないんじゃない?」と、質疑終了後、ベテラン議員の方に言われました
その内容は、リンク先「結婚・家族制度を大切にする保守の会」の方が、非常によくまとめてくれました。
テキスト情報を以下、引用させていただきます。
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井上 問1。提案者が行った意見募集、県民コメントについてです。意見募集の総件数は?
そのうち賛成意見は何件で、反対意見は何件か?
渡辺 意見募集は本来、条例に関する質問ではありませんが、お答えさせていただきますと、県民コメントは、そもそも公開しないことを前提として実施しております。
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井上 問2。意見募集を踏まえて、素案から変更した点はあるか?
渡辺 こちらは総合的に判断し、修正変更した点はございます。
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井上 問3。条例推進派と思われる団体が、コメント募集期間中にもかかわらず、「差別を煽る反対意見で荒れており、反対意見だらけになると、条例制定が遠のく可能性がある」との趣旨のツイートをし、賛成コメントを求めているのが分かりました。このような事態が生じた原因を、県民コメント募集者としてどのように考えているのか?
渡辺 個別の個人の言論活動について、コメントする立場にはないと考えております。
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井上 問4。続いて、現状認識についてです。提案者は、提案説明の中で、「社会の不合理や不平等を感じる県民が相当数いる現状がある。それを解消する」と仰っているが、具体的にはどのような不都合・不合理があると認識しているのか?
渡辺 例えば、差別的な発言やいじめによって傷つけられたり、同性カップルの方たちは、手術の際の同意が認められない、生命保険の受け取り人になれない、などの不合理・不都合があると認識しております。
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井上 これ以降は、条文内の文言について伺います。
問5。第一条「目的」について。この条例は、「男女という二つの枠組みではなく連続的かつ多様である性の在り方の尊重」とした理由は? 「二つの枠組み”だけ”ではなく」という表現の方が現実の感覚に近いと思いますが、いかがでしょうか?
渡辺 「男女という二つの枠組みでなく」とした理由ですが、「性の在り方はグラデーションなのだ」という性の多様性についての理解を深めてもらう必要があるためです。
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井上 問6。条文内で用いられる「全ての人」の範囲は?
渡辺 県内に住所を有する者、及び県内に滞在する者、全ての人を指すとか考えております。
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井上 問7。第二条の2の「定義」を踏まえ、本条例では「性自認」を重視するということですが、性別適合手術をして戸籍変更をしていなくても、性自認のある性として扱うことを、県、県民、事業者に求めるということか、確認いたします。
渡辺 主観的な性自認を重視することについては、その通りであると考えております。
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井上 問8。「性自認」は、「自己の性別についての認識」とあります。どのタイミングでの自認を問うのか? つまり、何をもって「自認」というのか伺います。
渡辺 これは、ご自身・ご本人が認識した時点であると考えま
す。
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井上 問9。第三条の「あらゆる場」とは、あくまでも埼玉県内でのことを指すのか?
渡辺 これは、埼玉県内、埼玉県で定める条例ですので、埼玉県内のことを指します。
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井上 問10。「あらゆる場」とは、女性トイレや女湯、更衣室など、女性のプライバシーの度合いが高い場も含むのか?
渡辺 これは自ずから、「人権」としてですね、権利を主張される場合、内心に留まる限りは絶対的に保証されるものですが、内心に留まらずですね、外部の行為として表現される場合には、自ずから人権としての制約が働くと考えております。他の人権と、ご主張される人権が衝突する場合には、人権と人権がぶつかる、その人権相互の矛盾・衝突を調整する原理としての、公共の福祉による制約を自ずから受けるものだと考えております。
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井上 問11。第四条の1、「不当な差別的取扱い」とは、どのようなことを指すのか? 具体的な事例を示していただきたいと思います。
渡辺 具体的な事例としましては、性的指向、性自認を理由として従業員を解雇することや、採用内定者の内定を取り消すこと、性的指向、性自認に関するハラスメント行為やいじめを行うことなどが挙げられると考えております。
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井上 問12。こちらから一点、具体例を出して伺います。例えば、入浴施設側が、体は男性・性自認女性が、女湯に入ることを拒むのは、「不当な差別的取扱い」に当たるのか? また、客が「入ってほしくない」と、施設側に求めることは差別に当たるか?
渡辺 これも先ほどの人権の話をさしていただいたものが基本的な理解としてありますが、具体的なお話をさしていただければ、本条例についてですね、公衆浴場等の施設の衛生及び風紀に必要な措置の基準において、定められる男女の区別を設ける趣旨の規定の適用や、そのような趣旨の規定に基づいて、施設の管理者が講ずる措置の適用を妨げるものではありません。当然、施設の管理者などにも営業の自由があります。従って、入浴施設の管理者が女湯への立ち入りを禁止することは、一律に条例違反となるものではないと考えております。また、お客さんの要望についても、一律に差別に当たるものではないと考えております。
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井上 問13。男性が女装し、性自認を女性と主張して女性スペースに入る、「なりすまし」を防げるか? これが一番の論点であり、多くの条例制定を心配する声が寄せられている点かと考えます。「性自認」の定義が曖昧であれば、性自認の申告がそのまま認められ、犯罪に悪用される恐れがあるのではないか、提案者の認識を伺います。
渡辺 これも先ほど申し上げた通り、基礎的な人権の考え方をベースに考えていただきまして、性自認の申告がそのまま認められるという内容の規範ではございません。また、この条例案の規定が、建造物侵入罪、偽計業務妨害罪、迷惑行為防止条例等の構成要件該当性を否定したり、違法性を阻却したりすることはございません。
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井上 問14。第四条の3で、「正当な理由なくアウティングをしてはならない」とあるが、わざわざ「正当な理由なく」を足した理由は?
渡辺 「正当な理由」についてはですね、緊急搬送時等の本人に確認をするのを待っていては命に関わるような緊急事態であるとか、裁判における必要な対応等、本人の同意を得ることができないような場合を想定しております。
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井上 問15。第七条の「県民」の範囲は?
在住、在勤などの概念はどうなっているのか、観光客なども含むのか伺います。
渡辺 県内に住所を有する者、及び県内に滞在する者、全ての人を指すと考えております。したがって、観光客も含むものと解しております。
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井上 問16。第十条に県が行う事務事業において、「合理的な配慮をしなければならない」とあるが、提案者は現在行われている県の事務事業において、合理的な配慮に欠く具体例があると考えているのか?
渡辺 具体例を挙げさせていただきますと、パートナーとパートナーとの県営住宅の入居であるとか、病院での手術の同意であるとか、県内パートナーシップ・ファミリーシップ制度が、県内の自治体によってバラついていることであるとか、そのような具体例が挙げられると思います。
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井上 問17。県教育委員会の事務事業には県立学校があります。そこには男子校、女子校があります。提案者は、この条例が制定されたとして、男子校へ「性自認男性」を入学させる、またはその逆の「性自認女性」を女子高に入れる、ということも想定するのか伺います。
渡辺 これは、お茶の水女子大をはじめ、性自認女性である人の入学を近時は認めており、検討すること自体は可能だと考えております。
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井上 問18。十一条で定める「パートナーシップ・ファミリーシップ」についてです。県下では35自治体が制定していますが、他方で、地域の理解が得られず、制定しないところもあります。そのような中で県として制度を作るべきと考えているのか?
渡辺 これは作るべきであると考えております。これは先ほど申し上げた通り、住んでいる市町村によって、パートナーシップ制度、ファミリーシップ制度が認められる要件が異なっており、それが不便だという県民の声があるためです。
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井上 問19。この制度の利用実態は決して多くありません。利用が低調な中で、この制度を本条例で求めることの意義を伺います。
渡辺 まず、制度を利用するためにはですね、カミングアウトをすることになりますが、これまで長く苦しんできた方はですね、カミングアウトすることによる抵抗というかですね、これまで苦しんできた嫌な思いということが非常にあり、恐れを持っていらっしゃいます。こうしたことがあり、なかなか利用が進んでないということもありますが、社会の理解の進展に伴い、制度の利用も進むと考えております。合わせて、性の多様性を前提とした、こうした選択肢を制度として、選択肢の一つとして設定することが重要であると考えております。
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井上 問20。附則、「公布の日から施行する」とありますが、性に対する新たな解釈を加えるのに、少し拙速過ぎるのではないかと考えますが、提案者の考えを伺います。以上です。
渡辺 性的指向、または性自認に関して社会の不合理・不平等を感じて生きている県民の方が相当いらっしゃる現状を一刻も早く改善する必要が高いということ。加えて、先ほどもお話しした通り、これは新たな解釈というものではなく、これまで国、県、県教育局でも広く啓発されている内容であり、問題はないと考えております。
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井上 それでは、何点か再質問をさせていただきます。まずですね、県民コメントについては、公開する、そもそも公開を必須としてないということで、それは行政のパブコメとは違いますので、その主張には、理解いたします。その上で、報道等によりますと、それでも、数値というのが報じられておりまして、聞くところによると、9割が反対の意見だったという風に聞いております。その多くの反対意見が寄せられたにもかかわらず、提案の見送りであるとか、文言の修正、これらの状況がどうだったのかというところを確認させてください。先ほど「素案から変更した点がある」と仰っていましたので、どの点を修正したのか、まずはその点を確認をさせていただいた方が宜しそうですので。じゃあ、パブコメの募集した案から変更した点があるということでしたので、そこをどう変更したのか確認させていただきます。
渡辺 まず、パブコメについての報道ということでございましたですけども、先ほども申し上げました通り、自民党で県議団として行っているパブリックコメントについては、そもそも公開しないことを前提として実施しております、ということでございます。
「素案から変更した点はあるかと、どう変更したのか?」というご質問ですけども、こちら先ほども申し上げました通り、総合的に判断し、修正した、修正変更した点はございます、ということでございます。
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井上 続きまして、先ほど、現状認識であるとか、県の事務事業に関する質問の中で、手術の同意に関する答弁がございました。私の方で、保健医療部に確認をさしていただきましたが、少なくとも県の事務事業という意味も含みますが、県立の4病院では、同性でも、キーパーソンの同席というのは認めております。意識がない場合でも、同居などの状況があれば、同性でもOK。その場合は特に証明や、誓約書、また公正証書の提出なども求めていないということでした。また、こういった実態はですね、私がお話を伺った当事者の方も、「現にこういう病院は増えてきている」という風に仰っております。こういった実態を踏まえて、先ほど不都合・不合理であるとか、県の事務事業に対する答弁ございましたけれども、その点について再度認識を確認させていただきます。
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渡辺 県立病院についての、手術の同意については、県立病院では認められるということで、お話がありましたけれども、先ほど挙げさせていただいた当事者が感じている不合理・不都合であったり、大きな悩みというものは、先ほどは例示列挙に過ぎません。それに留まらずですね、こうした当事者が感じられている、不合理・不都合が解消されていくこと自体は素晴らしいと思いますが、まだ厳然たる不合理・不都合が世の中には多く存在していますので、これらを解消していくために、本条例は必要だという認識で、提案をさしていただいております。
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井上 「目的」のところにある「二つの枠組みではなく」ということは、「グラデーションがあるからこそ、そうなんだ」という風に仰っていました。では確認ですが、本条例では第十二条の2で、「県は、学校の授業その他の教育活動において、性の多様性に関する理解を深める」とあります。学校でも「二つの枠組みではなく」と教えるという形をお考えなのか、確認をさして下さい。
渡辺 すでに(県)教育局で、児童生徒、小学校5年生以上に配布されている児童生徒に対する資料でもですね、このように「(性は)グラデーションである」という風な説明がなされております。
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井上 先ほど銭湯の事例を出して、それに対しても答弁をいただきました。私が確認をさせていただいたところ、少なくとも、埼玉県の、公衆浴場の組合においては、特段決まったルールというのはないそうなんです、なので、先ほど提案者も仰っていたように、そのそれぞれの、営業の自由というか、それに基づいて判断されていくだろうということなんですが、やはり、例えばこうした「性の多様性を認めよう」という同趣旨の法律がある海外では、悪用事例というのは報告されています。しかも、それが防ぐということだけではなく、後に裁判などにおいて、「こういう法律があるから、私は悪くない」というような主張に繋がったりする訳です。ですので、ぜひ提案者にはですね、この条例が可決されても、今私が言ったようなことは、あくまでも取り越し苦労であると、心配に及ばないんだというような確証や担保があるのか、という点をお聞かせいただきたいと思います。以上です。
渡辺 「悪用事例が増えるんではないか?(悪用事例が増えないという)確証があるのか?」ということでありましたけども、この物事がゼロであるということを証明することはですね、「悪魔の証明」と言われまして、これは不可能なものだと考えておりますけども、先行している自治体だったり、海外の事例がありますので、少しご紹介させていただきますと、2018年に、UCLAですね、カリフォルニア大学のロサンゼルス校の方でですね、大規模なこの性犯罪増加の、実態があるかという調査が行われましたが、この点で統計的に性犯罪が増加するということはないということが、統計的には明らかになっています。三重県などでも、同様の条例が先行的に実施されていますが、この条例を契機に、性犯罪等々の悪用事例が増加したという報告はないと聞いております。以上です。
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