井上わたるの和光ブログ
和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。
2022.07.12
こんにちは。
先週まで開催されていた6月定例会で
最も注目された議案が、自民党議員団が議員提案した
「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」、
通称 LGBT条例です。
私は、この条例の審査経緯などを詳細に報告するべきと
考えていました。
ただ、文章量が多いため、
facebookでは「5回」に分けて投稿しました。
しかし当然読みにくさはあるため、
この「井上わたるの和光ブログ」では
それらを1本にまとめよう!・・・と思っていたのですが
こちらもやはり、文章量が多くて、掲載できませんでした。
そのため、やはり5本に分けて投稿します。
今回の採決では「提案者の自民党内で退席者が出た」ことが注目され報道にもなりましたが、我が会派もその多様な意見がある中ではありますが、最終的には〝会派として〟一致した行動を取ることを目指していました。
そのためにも、自民党県議団がLGBT条例の提案を検討している・・・と小耳に挟んだころから、LGBTQ当事者や支援団体、女性の人権を守る立場からのご意見などを聞いてきました。
会派内でも、調査・検討を数えきれないほど重ねてきました。他県の既存の条例や、県内の制定状況なども、議会事務局の政策調査課の協力を得て行いました。
これらの流れを端的にまとめたのが、最終日に行なった「反対討論」の前半部分です。
以下(===から===の間)、その討論です。
===
議席番号46番 無所属県民会議の井上航です。
議第15号「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」に反対の立場で討論を行います。
我が会派も性の多様性は尊重され、さらなる県民の理解増進が図られるべきと考えます。その上で条例化という方法の是非、そして、その内容及び制定後の影響を、慎重かつ丁寧に判断する必要があると訴え続けてまいりました。
こうした我々の考えの通り、本条例は上程前から大きな議論を呼びました。我が会派にも、LGBTQ当事者や多くの女性から意見が寄せられ、賛成もあった一方で、反対や慎重意見が多く寄せられました。また報道などによると提案者が実施した「県民コメント」に対して、総数4747件、うち賛成508件、反対4120件と報じられています。
このように県民全体に関わる条例で多くの意見が寄せられたにも関わらず、提案者は「自民党としての手続きとして行っており、そもそも公開を前提としていない」と答弁し、議会という最も県民に開かれた公の場において政策立案過程の情報を県民に対して明らかにしていません。
仮にこれが提案者の一貫したスタンスならば、その主張にも納得がいったかもしれません。しかしながら、提案者の会派はこれまでの議員提出議案の審議の際には、これらを公開していました。
例えば、令和3年2月定例会 総務県民生活委員会における「埼玉県エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」の審査においては、「県民コメント内容とどう反映させたか。」の問いに対して、「県民コメントは、自由民主党埼玉支部連合会のホームページで実施し、10件の意見をいただいた。エスカレーター管理者からの意見を一部反映させた。」と答弁しています。
また、令和2年2月定例会の福祉保健医療委員会における「埼玉県ケアラー支援条例」の審査においても「県民コメントは約1か月間ホームページにおいて行い、32件の御意見を頂いた。そのうち30件は条例の趣旨に賛同するものであった。意見を参考にして文言削除を行った」のように答弁しています。
こうした事実を踏まえると、提案者にとって、制定に向け都合のいい情報は公開し、都合の悪い情報は公開しない、という姿勢かのように、県民には映りかねません。
冒頭申し上げた通り、本条例は期待をする声もある一方、県民の抱く不安や心配の声に慎重かつ丁寧に応えながら進めるべき内容であり、今回の提案はいささか県民置き去りであったと受け止めざるを得ないと感じております。
さて、しかしながら、提案された以上は審査を進めなければなりません。
去る6月29日、我々に寄せられた本条例の制定を不安視する多くの声を踏まえ、私はこの壇上で合計20項目に及ぶ質疑を行いました。その後の総務県民生活委員会でも更に議論を深めるべく会派として質疑を行いました。
それらを経てなお、我が会派は「時間をかけてより丁寧な議論が必要」と考え、委員会で継続審査を提案しました。
本条例の一番の争点は「性別は自分で決めることが出来る」という〝性自認〟の考え方を取り入れて、且つ「性的指向又は性自認を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならない」としている点です。
提案者はこの点について「生物学的性別を問わずに、主観的な性自認を重視する」と非常に踏み込んだ答弁をしています。
今回の議案審査では、我々は女性の人権への影響を重視し、特によりプライバシーの度合いの高い「女性トイレ」や「女湯」などの事例を優先して取り上げました。しかし例えば、性自認は女性で身体的には男性の方のスポーツ参加枠はどうするのか。埼玉だけ参加を認めるのか。また身近な点で言えば事業者が行う「レディースデイ」も性自認が優先されるか…など、議論を尽くすべき点は他にも多数あり、国会において同趣旨の法案が慎重審議ののちに提出見送りに至った経緯を鑑みれば、埼玉県議会においても、より丁寧に議論を深める必要性があったと考えております。
継続審査が見送りとなった以上、我が会派も現時点における賛否を判断します。我が会派は「県民の不安解消に至る明確な答弁が十分でなく、条例として施行・交付するには県民の理解を得られる状況には至っていない」と考えることから本議案に反対致します。
(つづく)
===
次回は、議案が上程された日に行なった「議案質疑」の内容を紹介することで、我々が抱いた懸念や法的論点を上げていきたいと思います。
先週まで開催されていた6月定例会で
最も注目された議案が、自民党議員団が議員提案した
「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」、
通称 LGBT条例です。
私は、この条例の審査経緯などを詳細に報告するべきと
考えていました。
ただ、文章量が多いため、
facebookでは「5回」に分けて投稿しました。
しかし当然読みにくさはあるため、
この「井上わたるの和光ブログ」では
それらを1本にまとめよう!・・・と思っていたのですが
こちらもやはり、文章量が多くて、掲載できませんでした。
そのため、やはり5本に分けて投稿します。
先に申し上げますが、今回の条例については、会派内でも様々な意見がありました。
今回の採決では「提案者の自民党内で退席者が出た」ことが注目され報道にもなりましたが、我が会派もその多様な意見がある中ではありますが、最終的には〝会派として〟一致した行動を取ることを目指していました。
そのためにも、自民党県議団がLGBT条例の提案を検討している・・・と小耳に挟んだころから、LGBTQ当事者や支援団体、女性の人権を守る立場からのご意見などを聞いてきました。
会派内でも、調査・検討を数えきれないほど重ねてきました。他県の既存の条例や、県内の制定状況なども、議会事務局の政策調査課の協力を得て行いました。
これらの流れを端的にまとめたのが、最終日に行なった「反対討論」の前半部分です。
以下(===から===の間)、その討論です。
===
議席番号46番 無所属県民会議の井上航です。
議第15号「埼玉県性の多様性を尊重した社会づくり条例」に反対の立場で討論を行います。
我が会派も性の多様性は尊重され、さらなる県民の理解増進が図られるべきと考えます。その上で条例化という方法の是非、そして、その内容及び制定後の影響を、慎重かつ丁寧に判断する必要があると訴え続けてまいりました。
こうした我々の考えの通り、本条例は上程前から大きな議論を呼びました。我が会派にも、LGBTQ当事者や多くの女性から意見が寄せられ、賛成もあった一方で、反対や慎重意見が多く寄せられました。また報道などによると提案者が実施した「県民コメント」に対して、総数4747件、うち賛成508件、反対4120件と報じられています。
このように県民全体に関わる条例で多くの意見が寄せられたにも関わらず、提案者は「自民党としての手続きとして行っており、そもそも公開を前提としていない」と答弁し、議会という最も県民に開かれた公の場において政策立案過程の情報を県民に対して明らかにしていません。
仮にこれが提案者の一貫したスタンスならば、その主張にも納得がいったかもしれません。しかしながら、提案者の会派はこれまでの議員提出議案の審議の際には、これらを公開していました。
例えば、令和3年2月定例会 総務県民生活委員会における「埼玉県エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」の審査においては、「県民コメント内容とどう反映させたか。」の問いに対して、「県民コメントは、自由民主党埼玉支部連合会のホームページで実施し、10件の意見をいただいた。エスカレーター管理者からの意見を一部反映させた。」と答弁しています。
また、令和2年2月定例会の福祉保健医療委員会における「埼玉県ケアラー支援条例」の審査においても「県民コメントは約1か月間ホームページにおいて行い、32件の御意見を頂いた。そのうち30件は条例の趣旨に賛同するものであった。意見を参考にして文言削除を行った」のように答弁しています。
こうした事実を踏まえると、提案者にとって、制定に向け都合のいい情報は公開し、都合の悪い情報は公開しない、という姿勢かのように、県民には映りかねません。
冒頭申し上げた通り、本条例は期待をする声もある一方、県民の抱く不安や心配の声に慎重かつ丁寧に応えながら進めるべき内容であり、今回の提案はいささか県民置き去りであったと受け止めざるを得ないと感じております。
さて、しかしながら、提案された以上は審査を進めなければなりません。
去る6月29日、我々に寄せられた本条例の制定を不安視する多くの声を踏まえ、私はこの壇上で合計20項目に及ぶ質疑を行いました。その後の総務県民生活委員会でも更に議論を深めるべく会派として質疑を行いました。
それらを経てなお、我が会派は「時間をかけてより丁寧な議論が必要」と考え、委員会で継続審査を提案しました。
本条例の一番の争点は「性別は自分で決めることが出来る」という〝性自認〟の考え方を取り入れて、且つ「性的指向又は性自認を理由とする不当な差別的取り扱いをしてはならない」としている点です。
提案者はこの点について「生物学的性別を問わずに、主観的な性自認を重視する」と非常に踏み込んだ答弁をしています。
今回の議案審査では、我々は女性の人権への影響を重視し、特によりプライバシーの度合いの高い「女性トイレ」や「女湯」などの事例を優先して取り上げました。しかし例えば、性自認は女性で身体的には男性の方のスポーツ参加枠はどうするのか。埼玉だけ参加を認めるのか。また身近な点で言えば事業者が行う「レディースデイ」も性自認が優先されるか…など、議論を尽くすべき点は他にも多数あり、国会において同趣旨の法案が慎重審議ののちに提出見送りに至った経緯を鑑みれば、埼玉県議会においても、より丁寧に議論を深める必要性があったと考えております。
継続審査が見送りとなった以上、我が会派も現時点における賛否を判断します。我が会派は「県民の不安解消に至る明確な答弁が十分でなく、条例として施行・交付するには県民の理解を得られる状況には至っていない」と考えることから本議案に反対致します。
(つづく)
===
今回の記載はここまでです。
次回は、議案が上程された日に行なった「議案質疑」の内容を紹介することで、我々が抱いた懸念や法的論点を上げていきたいと思います。
カレンダー
カテゴリー
最新コメント
最新記事
最新トラックバック
プロフィール
ブログ内検索
最古記事