井上わたるの和光ブログ
和光市選出の埼玉県議会議員。埼玉県政や和光市のことをわかりやすく伝えます。
こんばんは。
今日は自宅で資料作成を行なってました。
12月議会までもう1ヶ月ありませんので。
予定では、12月6日~21日までの会期になると言われています。
また、今回は一般質問の期間が「5日間」に設定されています。
6月、9月議会では持ち時間は30分でしたが、
12月議会と、3月議会では「40分間」なのです。
そのため、時間が余計にかかるだろうということで、1日多く設定されています。
今日の資料作成でメインに作っていたのは、先日の『視察報告書』です。
詳しい行程や制度の内容については、
委員長が代表してまとめてくれます。
なので、私たちは出来る限り、概要ではなく
個人の「感想」を述べるというのが、視察報告書をまとめる上での注意点となります。
まだ、誤字脱字のチェックや、分量や表現のチェックが入るかもしれませんが、
まとめた文章を、下記にアップします。
※この先、長くなりますのでお時間ある方、どうぞご覧ください。
※先日このブログで行なった「視察報告」をベースにしていますが、
加筆・省略などの編集をしています。
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視察報告
文教厚生常任委員 井上航
1.滋賀県東近江市 「地域包括ケアについて」
【概要】
東近江市の地域包括の特徴を示すポイントは下記の3点と考える。
① 「合併」
東近江市は、平成17年2月に1市4町が合併、更に平成18年1月に2町が合併し、現在の規模となった。地域包括ケアの「地域割り」は旧市町単位である。
② 「認知症対策」
東近江市は、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(第3期)で「認知症になっても安心して暮らせるまちをめざします」としている。
その具体政策として、「認知症サポーター制度」(=市民が認知症に対する知識・介護方法を学ぶ)、「認知症キャラバン・メイト活動」(=サポーター養成のためのリーダー的存在)、その他にも、各講習会をケーブルテレビで「行政番組」として放送する取り組みも実施している。
③ 「協働」
上記の認知症対策が、市民参加で行われている点や、認知症徘徊老人発見訓練を自治会単位で行なうなど、地域で見守る体制作りが進められている。
【感想】
○ 地域包括ケアの効果・必要性は、現状では和光市よりも東近江市のほうが高いと感じている。
それは、制度の充実度ではなく、
・和光市の34倍(383.36㎢)という面積の広さから一極集中が困難であるということ
・従来から築かれてきた地域の繋がりが強い
という点から言えることである。
○ 「地域による格差」が生じるケースを想定しておかなければならない。
その要因は、
・市職員の人材分散により偏りができてしまうこと(特に専門職は人数が少ないため)
・市街地区では自治会加入率が低く、協働の実施が積極的ではない
という背景があるからである。和光市でも医療機関の所在地域には偏りがあり、自治会加入率も東近江市より低いため、市民参加を促す上では一層の工夫が必要である。
○また、「人材の確保」(特に社会福祉士や保健師)が地域包括ケアを維持していく上での「要」だと感じた。和光市は都内に近いため人材の流動性は高い。そのことは、人材確保がしやすいというメリットでもあり、和光から流出してしまう、というデメリットでもある。地域包括ケアを推進することは、今まで以上に地域との結びつきが増えることになるので、体制維持のためにも、人材確保を重要視していくべきである。
2.大阪府池田市 「こども条例について」
【概要】
「池田市子ども条例」は、平成17年3月議会に提案され、4月1日より施行された。
池田市以外の自治体でも「こども条例」は制定されている(例:高知県・大阪府・世田谷区等)。 中には、
・子供向けを意識して、全部ひらがなで書かれている
・条文の文章が口語体で書かれている
など特徴的なものもあるが、池田市はその意味での特徴はない。この点について池田市の回答は、
『池田市こども条例は、“子育て支援条例”の性質が強い。だから、親や地域の人が読み、利用するためにも、通常の文言を利用している』ということだった。
全体は18条で構成されており、「保護者の責務」「地域住民の責務」「学校などの責務」「事業者の責務」を定めている。
【感想】
○このような「倫理条例」を定める場合、効果に繋げられるかが重要であると感じた。
こども条例制定後の政策の変化や出産・子育てがしやすくなったかどうかを自己評価すると「目に見える成果は出ていない」というのが池田市の回答だった。
「合計特殊出生率」で子育て環境が整っているかを推し量ることができるが、「全国平均1.32」に対して、「池田市1.18」と全国平均を下回っている。もちろん、この条例制定を機に新たに始まった施策は存在するが、あくまでも行動計画の一部であったようだ。
和光市で条例制定を検討するならば、「目玉」となる子育て施策を共に打ち出すことが、条例の浸透や効果に繋がる方法ではないだろうか。
○池田市子ども条例の制定は、子育て政策の推進というだけでなく、結果として、池田市の市民参加を促すという側面があったように感じた。
池田市は平成10年には、夕張市に次いで「財政状況の悪い自治体 ワースト2」になったこともある。その要因として、「可能な限り市の直営で行なう」という市長の方針があったため、民間委託や協働などが進まなかったため、市の財政を圧迫したのだという。
子ども条例では、市民(地域住民・事業者等)にも、子どもを守るための責務を示している。「子どもを育てる」という共通認識のもと、市民参加や協働が進んだとすれば、池田市子ども条例の果たす役割は大きいだろう。
和光市も、後期基本計画の中に「子どもが健やかに育つまち」という重点目標を定めて、子ども政策を進めている。池田市以上に子どもの数が増えている和光市だからこそ、より明確な「条例」という形に示すことも意義があるのではないだろうか。
以上